2018年7月28日土曜日
絵本「あそぼ」がアマゾンから発売開始
2018年7月26日木曜日
里山資本主義
本書の「前書き」に以下のことが書いてあります。
もっと稼がなきゃ、もっと高い評価を得なきゃと猛烈に働いている。
必然、帰って寝るだけの生活。 ご飯を作っていたりしている暇などない。
だから全部外で買ってくる。 洗濯もできず、靴下などは、しょっちゅうコンビニで、新品を買っている。
ここで大事な点は、猛烈に働いている彼は、実はそれほど豊かな暮らしを送っていないと云うことだ。
もらっている給料は高いかもしれない。
でも毎日モノを買う支出で、手元にお金が残らない。
今の経済は、このような暮らしぶりを奨励している。
つまり、猛烈に働いて、大量に生産し、猛烈に消費する経済である。
100年余り前にアメリカが始めたこの「常識」は、日本などの先進国に浸透し、その後発展途上国にも広がっていった。
今の政府の勧める「一億総活躍社会」もこの範疇に入るものであろう。
先の猛烈に働く青年の真のライバルは、労賃の安い新興国企業の労働者である。
ここ20〜30年の我が国の労働者の実質賃金は、働いても、働いても、ほとんど上がらない。
経済の悪しきグローバル化が進んで、世界の労働者の賃金は、より安い賃金の国の労働者のそれに、さや寄せされていく。
前のブログにも書いたように、グローバル化した巨大企業が、「できるだけ安くつくって、できるだけ高く売るために、どの国のどこの人々を利用したらいいだろうかと、世界をながめるようになりました。」
都会で、猛烈に働くこの青年が、会社をやめ、山あいに広がる故郷の町に帰ったらどうなるだろうか?
その舞台は、岡山県の最北部にある林業、製材業の盛んな、真庭市。
http://www.city.maniwa.lg.jp/webapps/www/
NHK広島取材班の面々が、徹底的な取材調査を行なっている。
青年が、故郷で得た働き口は。地元でとれる果物で完全無添加ジャムを作るジャム屋さん。 給料は、激減したが、支出の方も、激減。
家賃もさることながら、電気、ガスの光熱費も。
冷蔵庫、洗濯機は、普通に使うが、おじさんたちに教えてもらい、石油缶を改造した「エコストーブ」なるものを作り、そこに釜や鍋をのせて食事の支度をすることにした。
中に断熱材を入れエネルギー効率を良くしたそうで、裏山から拾ってきた雑木五本で、1日分のご飯が炊ける。
(本文には、エコストーブの写真と原理図まで、載っている。)
近所のおばさんがもてあましている畑を借り受け、野菜作りも始めた。
なんやかんやで、財布から出るお金が劇的に減った。 給料が減っても全然困らない。
それだけではない。 食べるものが劇的に美味しくなった。
新鮮な野菜、とれたてで、黄身の濃い卵。
数万円する「最新型炊飯ジャー」より美味しく炊けるエコストーブのご飯。
さらに暮らしが楽しく、人間らしくなった。
この人間味溢れる生活のキーワードは、「地産地消」。
しかし、この生活パターンは、成長第一主義の現代風マネー資本主義とは、相容れない。
お金のやりとりが少なくなるので、GDPに寄与しない。
そこらで採れたもので、生活が成り立ってしまうので、一億総活躍には、なり難い。
この真庭市で、ユニークなのが「木質バイオマス発電」。
林業と製材業で成り立つ町は、海外から入る安い外材に、押されて不況なはずなのに、ここ真庭市の銘建工業は、製材所で出る木屑を使って発電までして、元気である。
工場で使う電気のほぼ100%をまかなっている。 しかも夜間は、工場は、電気を使わないので、電力会社に売電しているとのこと。
毎年、4万トンもの木屑を産業廃棄物として処理すると、年間2億4000万かかるのが、ゼロになり、製材所の経営に大きく寄与している。
バイオマス発電の成功に調子ずいた、この会社の社長さんは、製材ででるかんなクズを小さくペレット状に固め、それを燃料とすることにも成功。
このペレットは、灯油と同じ手軽さで、エコストーブの燃料タンクにほりこめばいいという便利なもの。
しかも、灯油とほぼ同じコストで、ほぼ同じ熱量を得ることができるそうである。
この会社は、このペレットを全国に販売、一部は韓国に輸出している。
特に、お膝元の真庭市では、一般家庭の暖房や農業用ハウスのボイラー燃料として、急速に広がりを見せている。
真庭市で、トマトのハウス栽培を営む人を取材しているが。
これまで、重油式のボイラーを使ってきたが、国際情勢により、石油価格は大きく変動する。 このままでは、安定した農業経営はできないと、ペレットボイラーに切り替えて成功している。
つまり、いくら農産物を地産地消しても、それを作るためのエネルギーを地域の外から買ってくると、グローバル経済の影響を免れない。」と云うことである。
その他、この本では、国際的に、21世紀の超優良国家として、ヨーロッパのオーストリアを、木を徹底活用して経済の自立を目指す取り組みを国をあげて行なっている国として、取り上げ取材している。
さらに、もう一つ気になる言葉は、
「日本の加工貿易立国モデルが、資源高によって逆ザヤ基調になってきている」である。
従来、「資源を持た無い我が国は、技術を磨き、その技術によって、資源を他国から輸入して、加工して輸出して外貨を稼いでしか、生きるすべがない」とされてきている。
これまで、概ね黒字基調であった我が国の輸出入のバランスが、揺らいできてる。
日本の石油、石炭、天然ガスなどの輸入額は、20年前は、年間、5兆円に満たなかったのが、資源価格の高騰によって、今では、年間20兆円を超えている。
工業国同士の競争となると、日本はまだ強い。
EU、アメリカ、中国、韓国、などを相手に、14兆円の貿易黒字を得ても、その儲けは、全部アラブ産油国にもっていかれ、最終的には、マイナス2兆円。
資源を買ってきて製品にして売るという加工貿易立国のモデルが成り立たなくなってきている。
さらに、そのエネルーの主要資源である石油価格は、国際情勢や、投機ファンドの思惑によって乱高下するのである。
すでに1000兆円にもなる借金をものともせず、さらに日銀券を刷って、国債や株まで買い支えて、経済成長至上主義のグローバル経済に突き進んでいるが、これ以上、この流れに、追従するのは、やめたが良いのでは?
以上が、この本の読後レポートですが、NHKという巨大メディアの取材班が、これだけ徹底取材しての報告も、政治的に大した話題にもならず、その方向性の風も吹かない世論。
この国を動かしているエリートたちの頭の構造は、どうなっているのでしょうか?
不思議だ〜なぁ!
2018年7月24日火曜日
絵本「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」
サッカーW杯にも、出ていた、人口、わずか350万の南米の小国・ウルグアイのムヒカ大統領。
給料の大半を貧しい人のために寄付し、大統領の公邸には住まず、
町からはなれた農場で奥さんと暮らしています。
花や野菜を作り、古びた愛車を自分で運転して、大統領の仕事に向かいます。
2012年、ブラジル・リオデジャネイロで、開かれた、「環境が悪化した地球の未来について」話し合う国際会議でのスピーチだそうです。
いまの文明は、わたしたちがつくったものです。
便利でもっとよいものを手に入れようと、さまざまなものをつくってきました。おかげで、世の中はおどろくほど発展しました。
しかしそれによって、ものをたくさんつくって売ってお金をもうけ、もうけたお金でほしいものを買い、さらにもっとたくさんほしくなってもっと手に入れようとする、そんな社会を生み出しました。
いまや、ものを売り買いする場所は世界に広がりました。わたしたちはできるだけ安くつくって、できるだけ高く売るために、どの国のどこの人々を利用したらいいだろうかと、世界をながめるようになりました。
そんなしくみを、わたくしたちはうまく使いこなしているのでしょうか。それとも、そんなしくみにおどらされているのでしょうか。
飽くなき欲望におどらされ、情けようしゃのない競争をくりひろげる、行き過ぎたグローバル資本主義に、強い疑念を述べておられます。
給料の大半を貧しい人のために寄付し、大統領の公邸には住まず、
町からはなれた農場で奥さんと暮らしています。
花や野菜を作り、古びた愛車を自分で運転して、大統領の仕事に向かいます。
2012年、ブラジル・リオデジャネイロで、開かれた、「環境が悪化した地球の未来について」話し合う国際会議でのスピーチだそうです。
いまの文明は、わたしたちがつくったものです。
便利でもっとよいものを手に入れようと、さまざまなものをつくってきました。おかげで、世の中はおどろくほど発展しました。
しかしそれによって、ものをたくさんつくって売ってお金をもうけ、もうけたお金でほしいものを買い、さらにもっとたくさんほしくなってもっと手に入れようとする、そんな社会を生み出しました。
いまや、ものを売り買いする場所は世界に広がりました。わたしたちはできるだけ安くつくって、できるだけ高く売るために、どの国のどこの人々を利用したらいいだろうかと、世界をながめるようになりました。
そんなしくみを、わたくしたちはうまく使いこなしているのでしょうか。それとも、そんなしくみにおどらされているのでしょうか。
飽くなき欲望におどらされ、情けようしゃのない競争をくりひろげる、行き過ぎたグローバル資本主義に、強い疑念を述べておられます。
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