2015年11月20日金曜日
アルゴリズムが世界を支配する」クリストファー・スタイナー著
アルゴリズム」とは、早い話、コンピュータ・プログラムのことです。
グローバルな資本主義のもと、コンピュータや IT技術の急激な発達=はたして、コンピュータは人間の味方か?」と云う疑問をもちます。
原子力が、人間の敵か味方か?」と同じように。
この本には、書いてありませんが、まずは、将棋の話から。
頭脳ゲームの典型である将棋で、人間さまは、プロのトップクラスの棋士を含めて、もはや、コンピュターには勝てなくなっております。
コンピュターは、バカだから、プログラマーの書いた命令以上のことはできない」が定説ですが、実はそうでもない!
コンピュータとプロ棋士が対戦している時、コンピュータ将棋の作者のプログラマーの方がインタビューを受けてまして、「いま、コンピュータの指した手のねらいは?」と聞かれて、「さぁ、僕には、サッパリわかりません。 コンピュータに聞いてください」と言ってましたね。
プログラマーの人は将棋はたいして強くないのに、彼の作ったアルゴリズムは、彼の能力以上の将棋力を発揮して、プロ棋士に勝ったりするんですね。
これを単純に喜んで、いいのか? 彼の作ったアルゴリズムは、彼にもわからないことを始めている! ことが将棋ゲームの世界だけなら、まだ可愛い話だけど。
ここからが、この本の中身です。
コンピュータで株の売買をする。
誤解のないように言っておきますが、コンピュータを利用しての株の売買ではなく、コンピュータ自身が株の取引をするのです。
どの株をどのタイミングで、売買するかは、コンピュータ自身が判断、売買の注文は、人手を介することなく、コンピュターから直接、株式市場に電子的に送られ決済されるのです。
貴方が株式投資の達人、証券会社のエリートマン、ファンドマネージャであったとして、この取引で、コンピュータに勝てるか?
株価は、さまざまな要因によって、動きます。=「新技術が発見された、カリスマ経営者が亡くなった、テロが起きた」とか。
人間は、このニュースをみて、これによって、株価がどう動くかを考え判断して、キーボードを叩いて株の売買を行います。
コンピュータも同じことができます。 コンピュータはニュースが読めない、見えないと思ったら間違い。
ロイターなどが、コンピュータ専用の情報配信をやっていたりもしてますし、今や、コンピュータは、普通の文章を読んで、その意味も理解できるようになってきてます。
ニュースが読めて、意味が理解できれば、あとの判断は、人間のプロが行うようにやればいいだけ。
この判断は、初めはプロから教えてもらうにしても、あとは経験から機械学習をして段々に利口に成ってゆきます。
人間の判断とコンピュータのそれとが同じなら、早いもの勝ちで、人間がキーボードを叩いていては、即、負けです。
コンピュータによる株取引に従事するのは、ハーバードや MIT で、金融工学とアルゴリズムを習ってきた連中です。
MIT には、株取引(デリバティブ)で有名な、ブッラク・ショールズ方程式で、ノーベル賞をもらった学者もいます。
アービトラージ(裁定取引)=同じ価値を持つ商品の価格差を利用して、利鞘を稼ぐ取引」と言うのがあります。
シカゴでは、先物株取引が、ニューヨークでは、現物株取引が行われてます。
例えば、アップルの株、両方の市場に上場されて、時事刻々、動いて(価格が変動)います。
シカゴの方が、NYより高い瞬間を捉えて、シカゴで売り、NYで買えば、ノーリスクで儲かります。
シカゴ〜NY間の連絡は、光ファイバー通信によって行われます。
従来の光ファイバー回線は、鉄道路線に沿って敷設されてますので、シカゴ〜NYを直線で結んいるわではなく、多少寄り道をしてます。
これを原野を突っ切り、山にトンネルを掘って直線で結ぶと、信号の送達時間が、4ms(千分の四秒)短縮されるそうで、競争相手を出し抜くために、これを実行した人がいます。
このアービトラージ(裁定取引)は、ノーリスクで、道に落ちている、お金をどちらが早く拾うかの競争なのですが、お互いにコンピュータを使っての取引なので、4ms は、決定的な差となり最速の人の一人が全部を拾ってしまい、残りの人には何も残っておりません。
長くなりましたので、ボツボツ、結論を。
株取引は、何と言っても資本主義の根幹です。
その根っこのところが、あるものに一人じめされようとしてます。
グローバル化が進んだ経済のひとりじめ=極端な格差を生むだけ。
コンピュータが悪いのか? 社会の仕組みが悪いのか?
現状のまま、グローバル化を良しとして、追従する気になれません。=むやみなTTP化反対!
その他、この本には、コンピュータによる作曲のことも書いてあります。
アルゴリズムによって作曲された交響曲が演奏された時、人々は感動したが、それが機械によるものだと知って敵意をもつ人も現れたとあります。
コンピュータの自己学習が進んで、完全な人口知能になった場合。
別な稿ですが、「ホーキング博士は、完全な人工知能の開発は人類を滅亡に追いやる危険がある」いってます。
ごく短いスパンで見た場合も、今は人間にしかできない作業を人工知能が代行できるようになり、数多くの失業者がでる可能性は否めない」とか。
コンピュータの進歩は良いことなのか、どうなのか、なかなか、難しいですね。
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4 件のコメント:
なんだか空恐ろしいです。
ほんの一部の人がコンピューターを使って
世界を支配する、なんてことに?
その前に今回のテロのようなことが
次つぎにおきる?
個々の人間の価値はどうなるのでしょう・・・
子供や孫の時代はどうなってしまうのでしょう・・・
私は「お金遊び」には全く関心が無いので、
関係ないかと思って読み始めましたが
そうですね、人間を超えるようになれば
勿論人間なんて必要ないとコンピュータが
考えれば人は滅ぼされるのでしょうね。
コンピュータが核兵器のスイッチを握った
場合、それを使うと自分を滅ぼすから、
思いとどまるというところまで行動できる
プログラムを人が書けるなら、人はコンピュータ
の賢い使い方に気付いてもいいのではないか
と思いますが、
でも、気がつぃた時は遅かったりして・・・・
2045年問題=西暦2045年にコンピューターの能力が人類を越えるという予測があり、それによって、さまざまな問題がおこる。
The Singularity Is Near」とか云う本もでており、 Singularity(特異点)なんて不気味な言葉が使ってあったり。
30年後ですね。
僕は、とっくに居ないですが、子や孫は、ともかく、Qちゃんなんかも、長生きして苦闘しておられるんじゃないかと心配してます。
ええ~Qちゃんが30ン年後生きることを望んでいるの、
権兵衛さんの「人はコンピューターの賢い使い方に気付いてもいいのではないか」同感
遅くなりましたが、今日はお世話になりました.
楽しかったですよ、一言も発止無かったですが、聞いておりました.
今日の皆さんの発言はコンピューター社会に入りきっていない(考え方)発言に周しいていたと思う.
やむを得ないよ、人間という自分を無比出来ないから、割に自分はドライで割り切り人間なのでコンピューターの今後の世界を空恐ろしく想像しております.その現世を見られないのがつまらないですが.
水田さん、大臣になって尊厳死法案を可決させて下さい.
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